解離性同一性障害(DID)
一般的に「多重人格」として知られる解離性障害。二つ、またはそれ以上の人格が一個人に存在し、その自分とは違う人格が現れ出ている場合には、本人には自覚がなく覚えていない。
【DSM-IVによる定義】
A 2つ以上の異なる自我同一性または人格状態の存在(その各々は、環境および自己について知覚し、かかわり、思考する比較的持続する独自の様式をもっている)。
B これらの同一性または人格状態の少なくとも2つが反復的に患者の行動を統制する。
C 重要な個人的情報の想起が不可能であり、ふつうの物忘れで説明できないほど強い。
D この障害は、物質(例:アルコール中毒時のブラックアウトまたは混乱した行動)または他の一般身体疾患(例:複雑部分発作)の直接的な生理学的作用によるものではない
注:子供の場合、その症状が、想像上の遊び仲間または他の空想的遊びに由来するものではない
【ICD-10による定義】
この障害はまれであり、どの程度医原性であるか、あるいは文化特異的であるかについて議論が分かれる。主な病像は、2つ以上の別個の人格が同一個人にはっきりと存在し、そのうち1つだけがある時点で明らかであるというものである。おのおのは独立した記憶、行動、好みをもった完全な人格である。それらは病前の単一の人格と著しく対照的なこともある。
二重人格の一般的な形では、一方人格が通常優位であるが、一方が他方の記憶の中に入る事はなく、またほとんど常にお互いの人格の存在に気づくこともない。1つの人格から他の人格への変化は最初の場合は通常突然に起こり、外傷的な出来事と密接な関係をもっている。その後の変化は劇的なあるいはストレスの多い出来事にしばしば限られて起こるか、あるいはリラクセーション、催眠、あるいは除反応[解除反応]をもたらす治療者との面接中に起きる。